蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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旅とわたし:ボラボラ島(フランス領ポリネシア)

このエントリは『旅とわたし Advent Calendar 2016』の1日目です。

旅が好きだ。旅が好きな人はきっと多い。日々を暮らしていると、なんとなく旅に出たくなる。人それぞれのスタイルがあって、誰もがみな思い思いの旅をする。

最近の私はといえば、移動は多いけど、旅と呼ぶには物足りない毎日。アドベントカレンダーにかこつけて、これまでの自分の旅を振り返る25日間にしてみようと思った。印象に残っている都市の写真を5枚だけ選んで紹介していくスタイルでやってみることにする。

決めたはいいが、やはり1日目はどこにしようか迷うもの。ここは順当に、はじめて行った場所からはじめるのがよかろう。私にとってはじめての海外は、フランス領ポリネシアにあるボラボラ島だった。

コテージから見えるオテマヌ山

ボラボラ島へは、タヒチ等のファアア空港を経由して、ボラボラ空港まで飛ぶ。オテマヌ山という山がそびえる本島を岩礁が囲む形をしており、点在する小さな島々はワンアイランド・ワンリゾートとしてハネムナーに人気の滞在地になっている。

昔、写真をやっていたことがあるのだが、タヒチに頻繁に訪れていた時期、びっくりするほど写真というものに興味を失ってしまった経験がある。スペックの低いカメラで何の気なしに撮った写真が小さな賞をもらってしまい、「ああ、景色として完成されていれば、誰が撮っても変わらないものっていうのがあるんだなぁ」と思ってしまったことが原因だった。

コテージから見えるビーチ

ボラボラは、そのくらい、どこを切り取っても絵になる島だ。記録写真を撮るくらいなら、ただひたすら景色に身を委ねていたい、という気持ちにさせてくれるような。

それだけ絵になる景色であるにも関わらず、今こうして写真を眺めてみると、なんにも写ってないなぁと思う。笑うしかないくらい美しかった景色は、なんにも写し撮れていない。思い出を振り返って懐かしむどころか、むしろちょっとむなしい気持ちにさえなる。

水上コテージから直接海へと続くデッキ

水辺が好きな私にとって、水の音を聞きながら眠りに落ちるひとときは格別だ。旅をするときは、ついつい水辺を求めてしまう。海や、川や、湖。周りを海に囲まれた小さな島は、これ以上ないロケーションと言っていい。

アジア人は水上コテージを好み、西洋の人は山側にあるバンガローを好むのだと聞いたことがある。そういう傾向はあるのかもしれないし、ないのかもしれない。でも、やっぱり水上バンガローは特別な感じがする。

場所によっては、デッキを降りてすぐにウミガメがいるような島もあったりする。フィンさえ着けずにするっと海に入って、マンタに出くわしたこともある。ボンベを背負ったダイビングにあまり興味がなくて、スキンダイビングばかりやるようになったのも(今はもう潜れないけど)、身ひとつで海に入る楽しさを知ったからだった。

デッキから降りてすぐウミガメに会える

リゾートとして訪れるので、当たり前だがのんびりした時間を過ごすことになる。敷地内で出会う様々な国籍の人々と、様々な言語であいさつを交わす。それはとても非日常な光景のようでいて、ごく自然に身体が慣れてしまう。

フレンチポリネシアの公用語はフランス語。ホテルではもちろん英語も通じるが、街ではタヒチ語とフランス語をいちばん耳にする。タヒチ好きが高じて、フランス語を勉強するようになった。フランス語がすこしわかるようになって、役に立ったこともあるので、人生何がどう作用するかわからない。

犬がのんびりと寝ている

のんびりした気持ちをさらにやわらかくしてくれるのは、犬たちの存在だ。タヒチではここかしこに犬がいる。飼われている犬もいれば、そうでない犬もいる。ちょっとした日陰で、犬たちは寝ている。犬が苦手な私だが、不思議とタヒチの犬には親近感を持ったのだった。

ボラボラ島へは、2度訪れた。機会を伺って、またいつか行こうと思っている。ボラボラに限らず、これから25日間紹介していく場所は、どれももう一度行きたい場所だけを集めるつもり。これまでの旅を振り返ってみることで、自分が何を思うのかなぁというのがいちばんの関心事。

つまり、読者の存在を置き去りにして、旅とわたしの親密な25日間がはじまるのである。


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