このエントリは『旅とわたし Advent Calendar 2016』の17日目です。
台北に慣れてしまうと、まるで台北=アジアみたいな気分になってしまうのだが、普通に考えてそんなことはない。今回は最も直近に旅した国・タイから、バンコクを挙げておきたい。
「はじめてのバンコク、ざっくりログ」にまとめたばかりなので、何を書けばいいのかという感じはあるが、バンコクの人々の熱気や都市の発展の形はとてもおもしろかった。宿を取っていたのがシーロムという地区からサイアムという地区にかけては近代的な建物が立ち並んでいて、さすが東南アジア屈指の大都市という感じ。
一方、頭の中になんとなく存在するバンコクのイメージは、もう少し郊外の様子だったりひと昔前の様子に近いのかもしれない。あまりに超進化した都会の景色は、なんとなく戸惑う。たとえば、チャオプラヤ川のクルーズ中に川岸に見えた住宅などが、イメージの中にあるバンコクに近い。
どちらの顔もそれぞれ本当の顔だし、見る角度によって違う顔を見せてくれる街は楽しい。特に都市の顔に対しては、急成長する姿をきちんと見ておいたほうがいいなぁと感じる。きっと、あっという間に置いていかれてしまうよ。
高級デパートであるサイアム・パラゴンを覗いてみると、高級車からマンションまでなんでも売っている。アストン・マーチンにランボルギーニにベントレーにカイエン。展示販売されていて、ちゃんと売れているらしい。
この感じはマカオのギャラクシー・リゾートにも似ている。アジア圏のお金持ちはわかりやすいのがお好みのようなので、日本でお買い物するよりこういうギラギラしたところでお買い物するほうが好きそうだよね。
滞在時は国王逝去の追悼ムード一色だったため、どこに行ってもその影響があったが、その影響をほとんど感じなかった場所がカオサン・ロードである。散歩の途中で近くを通ったので、立ち寄ってみた。
かつてはバックパッカーの聖地と呼ばれていたが、今はカオサンからは旅行者が減っていて、スクンビットのほうに多くいると聞く。でも散歩の途中で通り抜けるぶんには、なかなか楽しめた。ちょっと怠惰な雰囲気が漂っていて、路地の奥のほうからはなんとなく絡め取られちゃいけないような空気が流れてくる。西洋人バックパッカーが多い理由がわかるような気がした。
川を上手に使っている街はおもしろい。チャオプラヤー川を行き交う船にはたくさんの種類があって、活発に運航している。そのせいか、チャオプラヤー川は海かと思うくらいに常に波打っている。
昼も夜もチャオプラヤー川をのぼったり下ったりして、久しぶりに文字の意味がまったく読み取れない国をひとりで歩いて、ああしばらく忘れていた感覚だなぁって不思議な気持ちになった。2016年のアドベントカレンダーのテーマを旅にしようと最初に思ったのは、バンコクの夜だったのかもしれない。
バンコクに再訪したい理由は、次はゆっくり歴史遺跡や寺院に行きたいから。今回は意図的に新しめのスポットを優先していたので、短い滞在の中で行けなかった場所をのんびりと回りたい。あとは、プミポン国王の喪に服す期間を抜けたら、普段のバンコクも見てみたい。
喪中ではあったが、バンコクは魅力的な熱量を持つ街だと思う。しばらくご無沙汰だった旅への思いを呼び覚ましてくれた。実のところ、またすぐにでも行きたいなぁと思っている。